日本人相手はリスクあり

ハワイでビジネスをはじめようとされている方々とお話しさせていただいていると、結構日本人観光客をメインターゲットに据えていらっしゃる方がたくさんいらっしゃいます。これはリスクのある判断かもしれません。

数のリスク

2016年度のハワイへの旅行者は、1年間で893.4万人、うち北米から555.7万人(62.2%) 日本から148.8万人(16.7%)となっています。

北米からの旅行者は日本人の約3.73倍いるわけです。

また、オアフ島の人口は99.9万人、うち日系人は約15万人(15%)、在留邦人が約2.2万人(2.2%)となっています。

このことから明らかな様に、日本人だけをターゲットに据えるだけでなく、その他の大きなパイを取り込む様な仕組みを考えるべきでしょう。

有事のリスク

日本人は天災、戦災の際に過剰な反応をしがちです。
阪神淡路大震災(1995)、9.11同時多発テロ(2001)、SARS(2003)、東日本大震災(2011)など、大きな天災や戦災が起こるたびに、日本からハワイへの旅行者は激減しました。

ごく最近では、ハワイ島、キラウエア火山近隣の噴火により、ハワイ島への渡航者が激減しています。(因みにオアフ島はもちろん、ハワイ島でもコナ側、コハラコースト側は全く影響がありません)

他のマーケットでも同様の傾向はあるかもしれませんが、一つのマーケットだけに集中していた場合、ビジネスが立ち行かなくなる可能性が高くなります。

なるべく多くのマーケットにリスクを分散することを考えるべきでしょう。

顧客満足度のリスク

日本人をメインのターゲットにして商品やサービスを組み立てた場合、それ以外の顧客のニーズと齟齬を生じることがあります。

例えば、レストランですと、人気商品を少量ずつ全部入れたセットメニューでチップ込みにしてしまうのが、大多数の日本人旅行客に好まれるのではないでしょうか?
日本人の場合、同じものを全員で食べることに、あまり抵抗が無い様に思います。

一方、アメリカ人は、セットメニューを頼むことは稀で、前菜、スープもしくはサラダ、メインディッシュとデザートをそれぞれ自分で選ぶことを好みます。
また、既存のメニューから、ドレッシングは別にしてくれ、オニオンは抜いてくれとアレンジを普通に依頼するのは、普通に目にする光景です。
1品あたりのボリュームもある程度あることも重要です。
これらに対応できないと、アメリカ人からの満足度を得ることが難しくなります。

お店のコンセプト的に、どちらかのマーケットに集中しているのでなければ、日本人とアメリカ人、両方の特性を頭に置いた上で、商品やサービスの構成を考えた方がいいでしょう。

ビジネスを長く続けるには

ワイキキの丸亀製麺の前にはいつも長蛇の列が見られます。客層を見ていると、うまくローカル、日本人観光客、アメリカ人観光客を取り込めていることが伺えます。

ビジネスを長く続け、有事のリスクにもある程度対応できる体質にするには、やはり、多くのマーケットから指示されるのが、望ましいですね。